コロナ戦争勝利法(呼吸器内科専門医より)

半生を呼吸器内科医として歩んだ元大学病院長が、大敵コロナ鎮圧の才略を追います

50 やまないコロナ雨はない、晴天までワンチームで頑張りましょう

 コロナ戦争第1波は神風が吹いたのか?日本は、他国と比較すると死亡者も少なく医療崩壊も逃れました。

 しかし、じわじわと市中感染が東京で始まり、関東園は勿論、地方にも浸透しつつあります。


 自粛解除後は感染対策よりも経済活動を全面解禁しましたが、思ったより早く感染数が増加し感染経路不明者も増加し、残念ながら感染第2波および市中感染の危険水域と思われます。

 

 にもかかわらず、東京都と国の感染対策がちぐはぐで決してワンチームとは思えません。いまだワクチンも治療薬もなく、決め手の勝利法が見つかっていません。したがって、経済対策優先か?感染対策優先か?アクセルを踏むか?ブレーキをかけるか?

 

 迷っている時期でなく、今こそ感染対策で徹底抗戦こそが勝利法と思います。コロナ雨は必ずやみます。それまで、宇宙人のような新型コロナウイルスと戦い、医療人も患者さんも夜の街もパチンコ屋さんも、晴天が来るまでワンチームで頑張りましょう。

 

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49 3か月で消える抗体では「集団免疫」、「ワクチン効果」は期待薄?

 スペイン、中国から発表された論文は、「新型コロナウイルスの抗体は3か月しかもたない」という内容でありましたが、私にはショックでした。

 コロナ戦争勝利のためには①集団免疫②早急にワクチン開発 が重要と思っていましたが、抗体が3か月で消える感染症は、人類は経験したことがありません。

 

 したがって、二つの方法は風前の灯火と思います。①「集団免疫」については、スウェーデンは独自のコロナ対策としてロックダウン(都市閉鎖)をしないで経済活動を行い、集団免疫で終息を目指していましたが、抗体が3か月で減少してしまえば、はかない夢となってしまいます。
 また②「ワクチン効果」は、ワクチンを多額の資金で開発しても、ウイルスの変異が速い(第24話 コロナ後の社会(3) 都市脱出)と同時に抗体が3か月しかもたないとなると、効果は半減してしまいます。

 

 近頃、「コロナ戦争全面勝利には治療薬開発を期待するしかないのかな」と思う今日この頃です。

 

48 第二波の市中感染開始で、医療体制逼迫予測

 日本人は危機管理が苦手な国民性と言われ(第33話 コロナ戦争は長期戦、備えあって憂いなし)、第一波は、検査を主体とした臨床医学でない公衆衛生学でなんとか乗り切りました。
 しかし、PCR検査をすれば患者さんが増え、医療崩壊を招くので、PCR検査を保健所管理下としました。そのため、社会医学的な公衆衛生学の考え方が優先されてしまいました。
 したがって、少ない給付金、安倍のマスク、人の往来の禁じ等々、小手先の対策で経済はガタガタとなりました。
 東京は意味のないアラートを発令しながら、今度は経済優先シフトとなり、自粛解除して都知事選挙も小池さんが圧勝しました。

 

 その後、良き神の太陽コロナでない、悪の神コロナウイルスはひたひたと関東地方に攻め上り、7月の七夕後急激に感染者が増えています。

 問題は感染経路不明者の患者さんが増加していることですから、市中感染が始まっていて、無症候の若者たちが家に帰り、お年寄りに感染させ、入院患者さんが増えます。

 そのことで医療崩壊が起こり、最悪のシナリオとなります。報道では、今が大事な時期である事から目をそらされ、国の元経済再生大臣西村さん、都の小池さんは必ず悪者を作り出しています。
 以前はサーファー、パチンコ屋、近頃は夜の街すべてが悪者扱いです。問題を直視すれば、むしろ国、都の無策の方が問題です。

 

 政治家は、①だれでもできるPCR検査の充実(第10話 なぜPCR検査が増えないの?)②(昔の結核法である)感染症法の改正③新型コロナウイルス専門病院の設置、を早急に実行して頂きたいと思います。

 

 第38話(対コロナは常在戦場(山本五十六)で戦いましょう)にも書きましたが、敵コロナウイルスは「ただ者」でなく、連合艦隊司令長官山本五十六のようなリーダーでないと、コロナ戦争は勝利できないように思います。

 

47 空気感染には3密を離れ脱都会

 この数か月、仕事で東京と長岡を週1往復していました。第38話(対コロナは常在戦場(山本五十六)で戦いましょう)にも記載しましたが、(五十六の家郷)長岡に到着するたびにフレッシュな空気を胸一杯吸って、生命を実感しています。

 

 コロナ感染は100年に1度の大流行パンデミックであります。世界経済への影響も、大恐慌以来である事を考えれば、東京一極集中が感染症に弱いことが周知されたと思われます。

 

 これからは、一極集中のシナリオである五輪、万博、リニア-など、昭和の夢として位置づけられたことは忘れて、歴史的転機に備えなければなりません。

 

 新型コロナウイルスは、飛沫感染接触感染以上に怖い空気感染をともないますから、都会の3密を避けるべきです。と同時に、脆弱な医療体制、偏在する医師等地方都市など多くの課題に取り組まねばなりません。

 

 今後はコロナ感染が、人々の生活まで大きく変えていくと思われます。

46 コロナは金融危機とは違う、人類の危機です

 コロナ戦争で勝利できなければ人類の危機です。新型コロナウイルスに感染しない場所を知っていますか?

 

 それは宇宙です。

 

 今のところ、生命ある惑星は地球だけですから、他の惑星から来た宇宙人のようなコロナウイルスには人類が協力して戦わなければなりません。

 

 しかし、各国は対立しています。競争してワクチン発見、日本人はファクターXで違う人種、皇軍大勝利という希望的観測(第33話「コロナ戦争は長期戦、備えあって憂いなし」)、コロナの米中対立、WHOの中国よりなど、人類は協力しなければ勝てない戦争なのに、世界はポピュリズムナショナリズムの傾向であります。

 

 (2020年)7月6日、世界32カ国の研究者は連盟で「コロナ感染は飛沫感染接触感染のみでなく空気感染の可能性がある」と発表しました。この報告を、WHOは今日の段階では認めようと致しませんが、可能性は高いと思います。

 

 コロナ戦争は宇宙人との戦いです。人類が協力して戦い、危機を乗り越えたいものです。

 

45 悩むコロナ戦士(医療従事者たち)④

 非常勤で伺っている病院では、重症患者さんが減った現在、コロナ戦士の医療従事者は皆疲れ切っている(燃えつき症候群)ようで、心の健康を損なっています。
 緊張の糸が緩み、無気力状態に陥っていて、看護師さんの眼差しは虚ろになっていました。

 一般的に頑張りすぎている医療従事者は、使命感を持って働く職員が多く、不満や弱音を話してくれませんが、私はかつて心療内科の経験がありますので、ストレス障害に陥っている医療従事者が散在しているのが解ります。

 コロナ戦争は、長期化する可能性が高いゆえに、コロナ患者さん対応に従事してきた掃除のおばちゃんを含め、すべての医療従事者たちをストレスチェックする必要を感じます。

 

 また、感染症対応の経験が少ない若い医療従事者たちに、再度ゾーンニング教育を行うのも安心感となります。

 

 ひたひたと迫っている第2波に備え、長期に渡る心のケアーが不可欠と思われますが、いかがでしょうか?

 

44 悩むコロナ戦士(医療従事者たち)③

  コロナ感染は経済危機を誘発していると同時に、医療機関の経営に深刻な影響を与えていると考えられます。


 患者さんは、院内感染への警戒から外来受診を控え、私が非常勤で伺っているクリニックも閑古鳥が鳴き、手術一部休み、検診も中断した状況で、民間病院は大きく収入が減少していると考えられます。

 

  大学病院は大きな減収であるも、毎年文科省補助金と特定機能病院の加算収入に支えられています。また、公立病院も自治体の補助金が与えられ、民間病院程のダメージは受けていないと想像します。

 

 したがって、病院経営の観点からも、行政はコロナ患者さんを効率よく受け入れるために、大学病院、自治体病院を主体とした専門病院が各地に出来れば、民間の一般病院はコロナ受け入れを減らすことができます。

 

 第2波、第3波を見据えて、民間病院の立て直しが早急に必要と思われます。