コロナ戦争勝利法(呼吸器内科専門医より)

半生を呼吸器内科医として歩んだ元大学病院長が、大敵コロナ鎮圧の才略を追います

50 やまないコロナ雨はない、晴天までワンチームで頑張りましょう

コロナ戦争第1波は神風が吹いたのか?日本は、他国と比較すると死亡者も少なく医療崩壊も逃れました。 しかし、じわじわと市中感染が東京で始まり、関東園は勿論、地方にも浸透しつつあります。 自粛解除後は感染対策よりも経済活動を全面解禁しましたが、思…

49 3か月で消える抗体では「集団免疫」、「ワクチン効果」は期待薄?

スペイン、中国から発表された論文は、「新型コロナウイルスの抗体は3か月しかもたない」という内容でありましたが、私にはショックでした。 コロナ戦争勝利のためには①集団免疫②早急にワクチン開発 が重要と思っていましたが、抗体が3か月で消える感染症は…

48 第二波の市中感染開始で、医療体制逼迫予測

日本人は危機管理が苦手な国民性と言われ(第33話 コロナ戦争は長期戦、備えあって憂いなし)、第一波は、検査を主体とした臨床医学でない公衆衛生学でなんとか乗り切りました。 しかし、PCR検査をすれば患者さんが増え、医療崩壊を招くので、PCR検査…

47 空気感染には3密を離れ脱都会

この数か月、仕事で東京と長岡を週1往復していました。第38話(対コロナは常在戦場(山本五十六)で戦いましょう)にも記載しましたが、(五十六の家郷)長岡に到着するたびにフレッシュな空気を胸一杯吸って、生命を実感しています。 コロナ感染は100年…

46 コロナは金融危機とは違う、人類の危機です

コロナ戦争で勝利できなければ人類の危機です。新型コロナウイルスに感染しない場所を知っていますか? それは宇宙です。 今のところ、生命ある惑星は地球だけですから、他の惑星から来た宇宙人のようなコロナウイルスには人類が協力して戦わなければなりま…

45 悩むコロナ戦士(医療従事者たち)④

非常勤で伺っている病院では、重症患者さんが減った現在、コロナ戦士の医療従事者は皆疲れ切っている(燃えつき症候群)ようで、心の健康を損なっています。 緊張の糸が緩み、無気力状態に陥っていて、看護師さんの眼差しは虚ろになっていました。 一般的に…

44 悩むコロナ戦士(医療従事者たち)③

コロナ感染は経済危機を誘発していると同時に、医療機関の経営に深刻な影響を与えていると考えられます。 患者さんは、院内感染への警戒から外来受診を控え、私が非常勤で伺っているクリニックも閑古鳥が鳴き、手術一部休み、検診も中断した状況で、民間病院…

43 悩むコロナ戦士(医療従事者たち)②

私が関与していた介護現場は、緊急事態宣言がでても、必ず出勤して仕事をし続けてきたのですが、介護職の方々が働いている超高齢社会の介護施設の現場は、すでに以前から人材不足にあえいでいました。 ただでさえギリギリの状況に、この新型コロナウイルスで…

42 悩むコロナ戦士(医療従事者たち)①

6月2日の公表では、医療関係の感染者数が1590名を占め、そのうち約6割が看護職(看護師、看護助手)で占めていました。 看護職は、患者さんと受診から退院まで多くの過程で接触するため、感染者が増えているとの懸念に加え、本邦では看護教育において、感…

41 秋冬コロナとインフル流行期に向け、還暦を過ぎたら肺炎球菌とインフルエンザワクチン接種をお勧め

私は先週、3年前に接種した肺炎球菌ワクチンを再び自費で行いました。肺炎球菌ワクチンそのものはコロナワクチンには効果なくも、重症化の予防措置となります。 新型コロナウイルスに感染する可能性はどなたでも持っていて、医療従事者は当然確率が高いと思…

40 ワクチン接種は来春か!

第18話(ワクチンは来年オリンピックに間に合うのか?)にも書いていますが、ワクチンを我国で接種できるのは来春の可能性が出てきました。しかし各国のワクチンは、オリンピックに間に合うのでしょうか? オリンピック時に、南半球の人々に行き渡るのは微妙…

39 東京はもう第2波の到来か?

昨日は東京にある非常勤病院で、発熱外来以外の一般呼吸器内科外来を行いました。診察室の床にはピンク色のビニールテープでゾーン分けし、私はフェイスマスク+業務用マスクを着用し、重装備でコロナ常在戦場に対応しました。患者さんは今の時期、病院を訪…

38 対コロナは常在戦場(山本五十六)で戦いましょう

常在戦場とは「常に戦場にあり」の意味で、太平洋戦争時における連合艦隊司令長官 山本五十六の言葉であり、長岡出身の山本五十六の信条であります。 私はこの4月1日より緊急宣言中、約3か月間、仕事で東京と長岡を(医師免許コピーを携えながら)週1往復し…

37 「8050親子」とコロナ

80歳代の高齢の親と50歳代の中年の子供が同居する2人家族(8050親子)の家庭は、介護・訪問看護・通所リハビリ等でよく見かけますが、コロナ戦争がはじまり、50歳代のお子様の方が仕事に就けなくなり、80歳代の親も施設に来なくなってしまいま…

36 アルバイトなく生活出来ない大学無給医

かつて大学病院の呼吸器内科主任教授をしていた故、臨床の医局には、(1)医学博士が欲しい大学院生の無給医、(2)専門医が欲しくもポジションがなく医局に所属する無給医などが存在します。 彼らはコロナ戦争が始まると大学病院の戦士として学徒出陣のように駆…

35 今はミサイル防衛よりコロナ防衛費を

今日、河野防衛大臣が陸上配備型の弾道ミサイル迎撃システム(イージス・アシュアー)の秋田、山口両県配備計画を停止すると表明いたしました。 かつて私は防衛医科大学に12年間勤務しており、防衛費の無駄使いを沢山見てきたので、極超音速ミサイルの登場…

34 飛沫感染対策はマスクが有効

今、私はマスクフェチであります。看護師さんから頂いた「ワインが飲めるチャック付マスク」「ハート型手作りマスク」「友人Drから贈られたダチョウの卵液マスク」「銅繊維製マスク」等、私の宝物です。 さて、夏になり電車内でマスクを外している人を見か…

33 コロナ戦争は長期戦、備えあって憂いなし

先の戦争の日本は(我が国の戦いは全て成功し、皇軍大勝利)の前提で作戦がねられ、「作戦が失敗した場合、被害を最小化するのはどうしたらよいか?」というタイプの参謀は嫌われていたそうであります。 かつて東京医科大学在職中、防衛医科大学にて危機管理…

32 コロナ後の医学教育は?

私が15年前大学医学部呼吸器内科学主任教授の時行った臨床講義は、今のコロナ社会では考えられない過去の遺物であります。 呼吸器内科に入院されている肺炎の患者さんを階段教室にお連れして、聴診器を学生に聴かせて診断させます。スピーカーで拡大された…

31 発熱外来が減少しスタッフに笑顔が戻りつつある

教え子の呼吸器内科専門医が疲労で休んだ時は、発熱外来に私(老兵)が完全武装で登場です。 午前で5人を診察し、都内の感染者が減ったと実感しました。何と言ってもうれしかったのは、マスク美人の看護師さんに笑顔がやっと戻ったからです。日々ウイルスの…

30 気管支喘息の人は感染減

コロナウイルスに効果ありと言われている既存薬の中では、承認された「レムデシビル」と「アビガン」と並んで気管支喘息のお薬「シクレソニド(オルベスコ)」が、初期には効果があると思われています。 本ブログ第4話にも記載しましたが、気管支喘息を含む免…

29 人工呼吸器と人工心肺装置(エクモ)の操作は24時間

先日出張先にて、睡眠無呼吸症候群および禁煙外来が早く終了したゆえ、完全武装してコロナ患者さんを診察する予定でありましたが、教え子の医師が「先生は年齢ハイリスクですし、常勤でないゆえカルテ回診のみにしてください」と言われました。 最初は「僕を…

28 コロナ後の社会(7) 大学はDX(デジタル・トランスフォーメーション)

インターネットがもたらした変革は従来の「やり方」を見直すDXという、トレンドに社会・大学が変わらなければなりません。DXはインターネットの技術のことを指しているのではなく、進んだ情報通信技術を活かし、私たちの社会・生活・社会構造などを全て見直…

27 コロナ後の社会(6) 特定機能専門(感染症・呼吸器)ナースの大欠乏

かつての看護大学の教え子ナースからお電話を頂きました。「やっとコロナ病棟から開放され生還しました。」と涙ぐんでよろこんでいました。 2ヶ月前は外来ナースでありましたが、優秀故、コロナ病棟に急遽配属となり、家族にも逢わずに奉仕の精神で頑張った…

26 コロナ後の社会(5) コロナ受け入れ病院の倒産の危機

コロナによる医療崩壊は、長年続いて来た医療費抑制政策が要因ともいわれています。そのため高額医療機器や医療資材の備蓄が出来なく、医療従事者は感染の危機にさらされ、患者さんの受け入れ態勢ができないまま一般病棟に受け入れたため、院内感染が発生し…

25 コロナ後の社会(4) コロナ現場の医療従事者への精神的なケアを

私は時々都内の病院に非常勤で、睡眠無呼吸症候群の外来患者さんを看ております。4月に入り緊急事態宣言がだされた直後から、都の要請により、コロナウイルスの救急搬送を受け入れたゆえ、新型コロナウイルスの対応に追われ、がん患者さんなどで不要不急の…

24 コロナ後の社会(3) 都市脱出

今日まで感染症の流行は、ヨーロッパではしばしば都市のあり方について再考を促す原動力となっています。 例えば今回のコロナ流行によって、最も打撃をうけたのは、都市部であります。都市化は資本の集中投下のよって資本経済の恩恵が多いものの、混雑する通…

23 コロナ後の社会(2) 大学教育はオンライン授業に

信州大学、パリ大学、防衛医大、東京医大において医学教育に従事したとき、いつも教官として反応があって充実した教育ができたのは、臨床実習教育にて、聴診器の診察法等、理学的所見の取り方を教えている時でした、学生も医者の卵として目を輝かせて参加し…

22 コロナ後の社会(1) 主役は「生命を守る産業」

疫病の世界史を見ると、その後社会・経済は大きく変化しています。世界史のパンデミックは14世紀から、ヨーロッパの人口の3分の1を減らした「ペスト」、その後「コレラ」、18世紀後半からの産業革命と並行する「結核」等、疫病の危機的な状況は文明のあ…

21 コロナウイルスは変異体するから厄介

新型コロナウイルスの遺伝情報は半月で変異して米国の解析では17種類にのぼります。遺伝子解析をするシークエンサー(遺伝子解析装置)でゲノム解析をしますと、主に(中国型)(欧州型)(米国型)に分類されますが、その変異は17種類にも上り、世界で感染…