コロナ戦争勝利法(呼吸器内科専門医より)

半生を呼吸器内科医として歩んだ元大学病院長が、大敵コロナ鎮圧の才略を追います

新型コロナウィルス(COVID-19)に立ち向かう

1 私と呼吸器感染症との出会い

 


 両親から頂いた健の名前は、父母共々結核に感染していたにもかかわらず私が生まれましたことから、「健康で生きていて欲しい」という由来でありますが、生まれてすぐ叔母が嫁いでいるお寺に4歳まで預けられました。

 両親は進駐軍(米軍)から提供されたストレプトマイシンで完治して、親元に戻りましたが、父はすこぶる元気になり遊びはじめ、母は耐えられなく医師の祖父のもとに出戻りました。母は結核の後遺症で片肺機能故、日々息苦しそうでした。

 そんな母を見ていつか母親を治してあげたい、また患者さんのため献身的に働いている祖父に感化され医師になりました。専門は迷わず信州大学呼吸器内科医師となり、この50年間、呼吸器内科医師として研究、臨床に携わって来ました。

 4年間のフランス留学で世界の呼吸器内科、感染症も勉強しました。今年出会ったCOVID-19(新型コロナウィルス)は最強であり、今まで経験したことがない、手強い呼吸器感染症対策であります。このウイルスの猛威を許してはなりません。

 

 このコロナウイルス宣戦布告いたします。

 

 

2 COVID-19とタバコ

 


 先日志村けんさんがコロナウイルスでお亡くなりになりました。ヘビースモーカーの報道により、その後の私の禁煙外来は大繫盛となりましたが、かつて日本呼吸器学会常務理事の時は8月1日(81=ハイ=肺の日)に日本記者クラブにて(喫煙者は犯罪者に近い)と発言して顰蹙をかいましたが、走馬燈のように、思い出されます。

 今回のコロナウイルス総動では喫煙が最大リスクであり、自宅待機における家族様への受動喫煙影響は犯罪者以上かもしれません。非常宣言が出た後でも3密の場である喫煙室でたむろしている喫煙者を見てしまいましたが、不要の外出以上に罰則であります、この機会に禁煙しましょう。

 

 
3 コロナウイルスを心配する皆様へ

 


コロナウイルス肺炎と細菌性肺炎の違い


 肺(肺胞)は大気中の酸素を吸入し、肺胞まで到達させ毛細血管に拡散させ血液の中に酸素を取り入れるガス交換を行なっている重要な場所であります。

 肺胞は図1ごとく、肺胞の表面積はテニスコートの広さもあり、図2のごとく実質と間質で出来上がっていて、実質の炎症が細菌性肺炎であり、間質の炎症が間質性肺炎となる、コロナウイルス肺炎は主に間質の炎症であります、したがって肺CT所見の初期はスリガラス陰影であり、コロナウイルスが肺胞の間質にウイルス感染を強力な感染力でおこし、速い速度で急性肺障害(Lung injury)になります。

 増悪因子としてはKL6,SP-A,SP-Dの血清マーカーが著明に上昇し、死亡する、恐ろしい病気です。

 

  

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4 治療薬はサイトカインストーンを抑制する物質か?

 

 

 かつて4年間パリのパスツール研究所の近くに住んで居ました、よく研究所を仕事、勉強で訪れ、免疫の基本である樹状細胞を見つけた、恩師、故ラルフ・スタインマン博士(ノーベル生理学・医学賞受賞)と偶然に懇親を深め学習しました。

 したがって免疫療法に興味がありがん免疫療法を3年前神奈川県にある某病院にて、国家戦略特区にがん免疫療法でアプローチして取得しました。

 コロナウイルスの治療薬開発は免疫療法が注目されており、免疫が過剰となるサイトカインストーンを抑制する薬剤が出現してくると思われます。

 また肺の中で急激に増殖するのを押さえる抗ウイルス剤、それも口から23回枝分かれする気管支を通過してやつと肺に到達するためには気流化出来る吸入薬が必要になるとおもいます。わたくしもかつて開発した薬がひょっとすると?と淡い期待をしている今日この頃です。

 

 

5 コロナウイルスの猛威を食止めるには!

 


 3月2日コロナウィルスによる死者は国内6名でしたが、4月20日では238名となり感染者は1万5千人以上でますます増加しています。

 日本の初動が間違ったのは厚労省方針がPCR検査を医療行為としてではなく、感染拡大を抑える(疫学調査)と位置づけたからであります。現代医療の基本は(早期発見)であります。

 早い段階で診断がつけば治療の選択肢が増え、死亡のリスクは減ります。 

 台湾はWHOが親中国のため独自の対策、水際作戦で食い止めています。私の友人である中山大学祭教授はSARS(重症急性呼吸器症候群)の時公衆衛生主体で疫学的調査、で失敗した苦い経験から、今回は医療行為水際作戦を行い成功し、現在台湾は新規感染者0の偉業を達成しています。

 


6 WHOへの逆風

 


 WHOの本部はジュネーブ、スイスにありフランス語圏ゆえ、私がフランス政府給費留学生として4年間滞在していた時2回就職受験したが落ち、夢破れ帰国いたしました。

 日本人初のWHO元事務局長中嶋宏先生が大学の先輩であり、厚労省出向でなく現地採用で国際人になりたいと思ってました。中嶋宏先生は精神科医で奥様はパリジェンヌで美人。先生は気さくな先輩であり可愛がっていただきました。また当時の国際機関の苦労話を拝聴しました。

 

 今新型コロナウイルスの対応をめぐり、保険体制を統括する世界保健機関WHOの逆風が強まっています。WHOにたいしては米国が拠出金停止を発表いたしました。WHOへの世界各国の負担金は昔も今もトツプは米国であり、2017年ころまでは、中嶋先生の影響で日本がNo2でありましたが、今は中国が多額の資金を拠出してNo2となり、親中国のエチオピア元保険相のテドロス氏になりました。

 彼は1月5日最初の感染流行情報をテドロス事務局長自ら(人から人への重大な感染は報告されていない)と報告したのは、明らかな中国寄りの姿勢であり大きな間違いでした。中嶋宏先生がご存命ならばきっと今のWHOを嘆いたと思われます。

 

7 医療崩壊の現実(1)

 

 先日非常勤医師で週一呼吸器内科診察をしている、病院の事務長から電話あり(コロナウイルスクラスターが看護婦さんに発生したので外来部門を閉じます。したがって来週は病院に来なくてよい)との事でした。私の感想は(やっぱり、私もコロナ戦争に突入)早速外来閉鎖した病院長に電話して、大学病院長時代インフルエンザ集団感染の苦い経験を話しました。

 かつて私が病院長をしていた大学病院の院内感染を起こした部門はリハビリ部門でありましたが、確かに3密着部門であり、怪しかった箇所は電話交換室、土足による院内感染等が指摘されました。

 さて4月4日の毎日新聞報道では全国の医療従事者153名感染と報道されましたが、その後発生した中野の2病院、慶応大、慈恵医大墨東病院、札幌呼吸器科病院等の医療従事者は含まれていません。英国の報道では医療従事者35%が感染しています。

 日本はすでに医療崩壊中と申して過言ではありません。