コロナ戦争勝利法(呼吸器内科専門医より)

半生を呼吸器内科医として歩んだ元大学病院長が、大敵コロナ鎮圧の才略を追います

36 アルバイトなく生活出来ない大学無給医

 かつて大学病院の呼吸器内科主任教授をしていた故、臨床の医局には、(1)医学博士が欲しい大学院生の無給医、(2)専門医が欲しくもポジションがなく医局に所属する無給医などが存在します。

 彼らはコロナ戦争が始まると大学病院の戦士として学徒出陣のように駆り出され、感染症・呼吸器内科のトレーニング(軍事訓練)も受けていないのに、コロナ診療(戦地)に当たっています。

 本ブログ第12話でも書きましたが、例えば眼科医が発熱外来を担当しているのです。
 なんと時給は最低賃金に近い約1100円、危険手当も支給されていません。そのうえ生活の糧であったバイト病院は、コロナで経営が悪化してバイトを断られる始末であります。

 

 さて大学病院はいまだ(白い巨塔)であり、多くの医師を雇う経済的余裕がありません。
 かつて大学病院の主任教授と病院長に従事した経験から、大学病院は厚労省文科省の相互乗り入れをしていますから、無給医問題はお互いに責任転嫁している構造的な問題があります。

 

 大学病院ではおそらく沢山の前途洋々な若いコロナ無給医が疲弊してしまっていて、コロナ戦争には勝てないように思う今日この頃です。

35 今はミサイル防衛よりコロナ防衛費を

 今日、河野防衛大臣が陸上配備型の弾道ミサイル迎撃システム(イージス・アシュアー)の秋田、山口両県配備計画を停止すると表明いたしました。
 
 かつて私は防衛医科大学に12年間勤務しており、防衛費の無駄使いを沢山見てきたので、極超音速ミサイルの登場を見越して、迎撃できないイージス・アシュアーの購入を白紙撤回した河野防衛大臣の勇気にエールを送りたいと思います。
 
 我が国の防衛装備は、日米同盟の下で最先端ではない米国製の武器さえ購入すれば良いという惰性は考え直すべき時期と思われますがいかがでしょうか?。

 さて、コロナ戦争を勝利に導くには新型コロナウイルス感染第2波3波、近未来予測される呼吸器感染症の対策として、武器である人工呼吸器、体外式膜型人工肺(ECMO)の準備及び戦士としての感染症・呼吸器内科医療従事者育成に軍資金を使わなければならないと思います。
 
 今回イージス・アシュアーを撤回した3500億円の費用はコロナ戦争勝利の為に向けて欲しいものです。
 

34 飛沫感染対策はマスクが有効

 今、私はマスクフェチであります。看護師さんから頂いた「ワインが飲めるチャック付マスク」「ハート型手作りマスク」「友人Drから贈られたダチョウの卵液マスク」「銅繊維製マスク」等、私の宝物です。
 
 さて、夏になり電車内でマスクを外している人を見かけるようになりましたが、マイクロ飛沫のウイルスは5メートル飛びますから危険です。
 
 かつてパリ大学留学時代、喘息の吸入薬の開発に携わり、口から吸入したお薬が、木の枝のような気管支の先にある肺に到達するには、山あり谷ありですから、マイクロ粒子化した薬を強く吸入することが肺に一番到達し易いことが解りました。
 
 その後、内服薬に変わり、カプセル型吸入薬が開発され世界中の喘息患者さんが沢山助かっておりますが、新型コロナウイルスはマイクロ粒子ですから、マスクがないと、吸入薬のように肺に到達して、肺炎を起こしてしまうのです。
 
 ワクチンがない今日、マスクが一番の予防薬と思われます。昭和初期、信州松本松岡医院の診察室は、冬になると看護師さんがよくガーゼマスクをガスで沸騰させ、滅菌していました。
 
 私はお小遣い欲しさにガーゼマスク作りの手伝いをしたのが走馬燈のように思い出されます。

33 コロナ戦争は長期戦、備えあって憂いなし

 先の戦争の日本は(我が国の戦いは全て成功し、皇軍大勝利)の前提で作戦がねられ、「作戦が失敗した場合、被害を最小化するのはどうしたらよいか?」というタイプの参謀は嫌われていたそうであります。
 かつて東京医科大学在職中、防衛医科大学にて危機管理の勉強をしましたので、教授会で何かと最悪の事態を想定して発言すると、学長に「不吉なことを言うな」と叱咤され、不興をよくかいました。

 

 今の日本はコロナ感染者も減少し、緊急宣言も解除され、このまま夏には終息すると思っている人が多いと思われます。現在の国会は、検事総長問題と給付金・補助金の予算の話ばかりで、第2波の備えの話はほとんどありません。
 そもそも従来型コロナウイルスは秋から冬にかけ流行しますから、新型と重なれば第2波は必然的に起こります。

 日本人の心理としては「不吉なことをいうと凶事を招く」ということなのでしょうか。
 今はコロナ戦争長期化に備え、特に手がついていない医療体制のソフト面の備えが早急に必要であると思われます。

 

 やっと乗り越えた感染第1波の山ですが、このままでは歴戦のコロナ戦士も第2波の山は疲弊して乗り越えられなく、第2次コロナ戦争は勝てないかと思われますが、いかがでしょうか?

32 コロナ後の医学教育は?

 私が15年前大学医学部呼吸器内科学主任教授の時行った臨床講義は、今のコロナ社会では考えられない過去の遺物であります。

 呼吸器内科に入院されている肺炎の患者さんを階段教室にお連れして、聴診器を学生に聴かせて診断させます。スピーカーで拡大された聴診器の音を、50人近い学生が階段教室で聴く座学兼実習教育でありますが、今は3密禁止の時代ですから、階段教室は撤廃と考えられ、電子講義となると想像いたします。

 

 医学部も電子書籍図書館、遠隔診療講座等にかわり、AI及びロボット等を駆使した新社会(科学技術政策ソシエテー5.0)の様な、未来型電子医学部が出現するのではないかと想像いたします。

31 発熱外来が減少しスタッフに笑顔が戻りつつある

 教え子の呼吸器内科専門医が疲労で休んだ時は、発熱外来に私(老兵)が完全武装で登場です。
 午前で5人を診察し、都内の感染者が減ったと実感しました。何と言ってもうれしかったのは、マスク美人の看護師さんに笑顔がやっと戻ったからです。日々ウイルスの恐怖に苛みながら、診療に立ち向かう姿は神々しい。

 

 何事も言える友人のナース(ミドルエージ)に「マスク美人だね」と話しかけたら、「マスクをしてない時は美人ではないですか?フェイスマスク美人と言ってください」と笑顔で言われました。

 

 コロナ戦争に勝った笑顔は美しい。

30 気管支喘息の人は感染減

 コロナウイルスに効果ありと言われている既存薬の中では、承認された「レムデシビル」と「アビガン」と並んで気管支喘息のお薬「シクレソニド(オルベスコ)」が、初期には効果があると思われています。


 本ブログ第4話にも記載しましたが、気管支喘息を含む免疫系の病気は、免疫が過剰となるサイトカインストーンを抑制する薬剤が、ある程度コロナウイルスに効果があると言われています。


 4月2日東北医科薬科大学系で論文が発表された後、買い占められたのか、都内では現在でも処方購入出来ません。


 当薬については6月2日に国立成育医療センターのチームが喘息患者には感染が少ないことを発表、私も「我が意を得た」と思いました。今私のお守りはいつも鞄に入っている、友人の薬剤師に頂いた「オルベスコ」です。